哺育器の中の大人　精神分析講義　伊丹十三　岸田秀

哺育器の中の大人　精神分析講義　伊丹十三　岸田秀 「子育てとは何か?」「人を愛するとは?」「何のために人は生きるのか?」「男(女)らしさについて」...初歩的な、しかし避けられない問いは、自我の構造や(無)意識の世界、幻想や知覚の仕組みなど根源的な問題につながっている。稀代の才人・伊丹十三と、「ものぐさ精神分析」で知られる岸田秀が真っ直ぐな対話を通して、生きるために欠かせない精神分析の基本を丁寧に分かりやすく解き明かす。 目次 第１講　幻想 第２講　意識と無意識 第３講　共同幻想 第４講　自我の構造 第５講　自我の領域 第６講　日本人の精神講造 伊丹十三 （ いたみ・じゅうぞう ） 1933‐97年。映画監督伊丹万作の長男として京都に生まれる。俳優として活躍する一方で、本質的でありながら軽妙で洒脱なエッセイの書き手として知られる。1984年、『お葬式』で映画監督デビュー。著書として『ヨーロッパ退屈日記』『女たちよ！』『日本世間噺大系』『「お葬式」日記』『フランス料理を私と』など。 岸田秀 （ きしだ・しゅう ） 1933年生まれ。早稲田大学文学部卒業。人間は本能の壊れた動物であり、「幻想」や「物語」に従って行動しているに過ぎないとする「史的唯幻論」は話題を呼んだ。著書として『ものぐさ精神分析』『嫉妬の時代』『心はなぜ苦しむのか』『歴史を精神分析する』『幻想の未来──唯幻論序説』など。 スリリングな精神分析入門 俳優の伊丹十三氏が、「ものぐさ精神分析」を著した岸田秀氏の精神分析理論を学ぶという本。 岸田氏の理論はフロイトを土台にしてるので、なかば精神分析についての一般的な講義として読むことができます。 「講義」という表題ですが、"生徒"の伊丹十三氏が精神分析理論をよく勉強しているため、伊丹氏の巧みな質問によって岸田理論に踏み込み、そこから見える世界観を照らしてゆくような進み方になっています。　 学問を通して世界を見る、ということの実践を読むのがたいへん面白いです。 のめりこみます 二人の雑談のような講義で読んでいる自分もいつの間にか伊丹さんが投げかける質問が気になりだして、伊丹さんと共にほっとできるような、そんなやり取りを楽しめますし、明快な納得も得られます 哺育器の中の大人　精神分析講義 （岸田秀コレクション） 岸田秀／著　伊丹十三／著