「バスケットの起源」 ナンタケットバスケットの起源には諸説あります。例えば、先住民ワンパノアグ族が作っていたバスケットから発展したという説。 鯨油を入れる樽作りの技術を応用して、船でバスケットが作られたという説。たぶん、そのすべてが絡まりあいながら形成されてきたのだと思います。 樽職人は捕鯨船に欠かせない存在でした。鯨は捕獲されたあと解体され、材料となる部位は大鍋で加熱されて油となります。その油は樽に保管されます。 職人は船に常に乗り込み、樽のメンテナンスも行っていました。その樽を作る技術がナンタケットバスケットの基礎になっていきました。 ナンタケットバスケットには底板があります。それはまさに樽の底。材料はオーク。樽にある縦に使われる板はステーブと呼ばれています。 バスケットのそれも同じ名称。樽を締めるのは金具の輪、リム。バスケットでは上部の枠をリムと呼びます。捕鯨船は鯨を求めて世界をめぐります。 大西洋、インド洋、南氷洋、太平洋、そして樽職人はアジアで藤に出会い、バスケット作りを発展させていくのです。 マラッカ海峡を渡り切り、寄港地であったフィリピンなど東南アジアで藤に出会ったのではないか、と私は考えています。 小さなすべての要素が偶然と必然から出会い、できたのがこのバスケットです。