《事件記者ジョン・ウェルズ》シリーズ第三弾❣️
「夏の稲妻」
訳者: 芹沢 恵
八月のニューヨークは、眠れる野獣だ。
市(まち)を徘徊するのは気のふれたホームレスばかり。
事件記者には嘆かわしくも怠惰な季節の到来となる。
情報屋のケンドリックから数枚の写真を見せられたのはそんなある日のことだった。
上院選に立候補中の議員がSM行為?
まったく放っといてやれよ。
ウェルズは慎ましやかに申し出を断ったが、翌日ケンドリックは死体となって発見された。
事の次第が公になり、失職の危機に瀕したウェルズは、自らの職業生命を賭けて卑しき街をさ迷うが・・
MWA最優秀ペイパーバック賞に輝く第三弾❣️
それにしてもよく襲われるし、顔、身体中が傷だらけになるし・・
46歳のオッさんの設定にしては“硬派”すぎるし、オンナにモテるんじゃない♪
“やっかみ”は満載なれどワタクシにはいささか羨ましくもあり♪
ワタクシの独断なんですが、著者は“女心”“涙”“欲望”などの“悪魔の思惑?”を描かせれば天才なのでは♪
解説 権田 萬治氏
主人公を敵視する新任(2年前に他社からの引き抜き)編集長の口癖が、
〈中略〉「自分たちの身に引きつけた記事、身近な記事ということを考えてもらいたい。四六時中、ニュース、ニュース、ニュースと眼の色を変えて走り回るのは止めるんだ」、「情報性と娯楽性の合体、それを目指すんだ。そう、インフォテイメントだ」と独自の編集方針を打ち出している。
こういう行き方は、娯楽性を重視する週刊誌やテレビのワイドショー的な方向であり、〈中略〉この方向に徹することは、新聞のテレビ化であり、新聞本来の報道重視の姿勢や主張性、解説性を失わせる危険がある。
その意味で主人公の姿勢は、現代の新聞のあり方を問い掛けるものといっていいだろう。
古書レベルとしての本の状態は概ね良好かと♪