「加藤周一/しかし それだけではない。 加藤周一 幽霊と語る」
加藤周一
定
「野心的な作品。私は一冊の書物を熟読するかのように、
これを『熟視聴』しないわけにはいかなかった。」
アニメーション映画監督 高畑 勲
戦後の日本を代表する知識人として発言を続けた加藤周一が最後に残したメッセージを、
彼自身の歩みともに構成したドキュメンタリー。
ジブリ学術ライブラリー
『しかし それだけではない。/加藤周一 幽霊と語る』
この作品のタイトルでもある「しかし それだけではない。」は、加藤周一が生前多用したフレーズです。物事を一つの視点だけに寄らず、常に多方向から、多面的に捉えることでその本質を見極めようとする彼の一貫した姿勢を象徴しています。
加藤は、自伝的回想録『羊の歌』(1968)や自身の戦争体験に基づいた小説『ある晴れた日に』(1950)、西洋の影響を受けながら伝統を独自に築いた日本文学史を世界的な視点から論証した評論『日本文学史序説』(1975、80)、さらに朝日新聞の夕刊に毎月1 回「夕陽妄語(せきようもうご)」という題で論説を寄稿(1984~2008)するなど、世界的な視点から、文学を始めとする芸術全般、文明、社会、政治と日本について語り続けてきました。
そして、2008年12月に惜しまれつつこの世を去った彼が最後に試みたのは“決して意見が変わることのない”幽霊たちとの対話でした。
加藤周一を知る人々から
今回この作品の制作に携わり、生前の加藤周一をよく知る2人、文筆家で加藤周一夫人である矢島翠と元NHKプロデューサーの桜井均、そして氏を深く敬愛する高畑勲監督の3氏による特別寄稿文が特典リーフレットとして封入されます。加藤周一の言葉をより深く理解する助けとなるでしょう
製作: 加藤周一映画製作実行委員会 矢島翠 / 桜井均
監督: 鎌倉英也
撮影: 中野英世
照明: 芝丕東
編集: 鈴木良子
音響効果: 齋藤實
プロデューサー: 桜井均 / 石紀美子 / 河邑厚徳
協力: スタジオジブリ / ウォルト・ディズニー・ジャパン
<特典リーフレット>
特別寄稿
●矢島 翠 「海を見た人」
●桜井 均 「加藤周一はなぜ幽霊と語ったか」
●高畑 勲 「映画「しかし それだけではない。~加藤周一 幽霊と語る~」をめぐって」