最寄りの店舗で直接購入した参考書です。
今 よみがえる、「英語使い」万次郎
時は幕末――安政の大獄で動乱をむかえていた1859年、日本最初の本格的な英会話教本が誕生しました。
幕命を受けた中浜万次郎によって編まれた『英米対話捷径』(えいべいたいわしょうけい)です。
ここにはアルファベット・ABCの歌・数のかぞえ方を前述として、日常英会話フレーズ213がカタカナ発音表記と訳文付きでつづられており、咸臨丸の乗組員も携行したといわれています。
後世に第一級の英学史料として輝くこの文献も、しかし英語教本としての評価となると高いとはいえません。
とくにgood=「グーリ」、that=「ザヤタ」など独特のカタカナ発音表記には疑問を呈する声も多くあります。
ところがこの文献を仔細に分析してみると、特異とも思えるカナ表記は音声学的に正当な根拠を有し、現代の英語学習者にも十分役に立つ実用性を備えているのです。
本書はなかば歴史に埋もれていた『英米対話捷径』を、語学教養書として現代によみがえらせ、皆さんの英語学習に役立つことを目的としています。
第1章では「英語使い」としての万次郎の生涯を追いながら、「彼はどう英語を習得し、どのように英語を使えたのか」を大胆に考察します。
続く第2章「『英米対話捷径』現代版」では、江戸時代の和文・漢文で書かれた原典の内容を現代の活字と語順で完全翻刻しました。英文には現代訳も付け見やすいレイアウトで再現しています。
そして原典の発音表記と英文の語法を丁寧に解説し、「万次郎が本当に伝えたかった英語」を究明しています。
巻末の「『英米対話捷径』復刻版」では原典全ページのカラー写真を収録。
古文書の面白さを味わえます。
さらに原典の全会話フレーズをCDに収録し、万次郎の発音表記を皆さん自身で検証できるようにしました。
時空を超えて歴史ロマンと語学教養を堪能できる1冊!
②に続く