ジョヴァンニ・ダ・パレストリーナは16世紀イタリア・ルネサンス・ポリフォニー音楽の完成者である。その大量の作品の中の傑作のひとつ①は、旧約聖書からの恋愛詩を題材にした29曲からなる連作声楽曲。1584年に出版された後期の円熟を示す作品群。1581年に出版された②は、8曲構成の宗教的+世俗的歌曲で、愛の告白や挑発的語りなどを歌詞とする作品。
ポール・ヒリアーとザ・ヒリヤード・アンサンブルは、1970年代末から1980年代にかけて活躍した、中世・ルネサンス声楽の復興運動の中核的存在。この録音は当時のルネサンス音楽研究の成果を実演に活かした先駆的試みであり、演奏技術・解釈・発音・宗教的背景への理解において学問的厳密さと音楽的美しさを両立させた重要録音。声の透明感と純正調的な和声のバランス、表情豊かでありながら宗教的な厳粛さを損なわない解釈、男女混声アンサンブルによる柔軟な音色設計が絶賛されている。
パレストリーナ
①連作モテトゥス「ソロモンの雅歌」(5声)〔全29曲)
②連作宗教的マドリガーレ「美しい乙女よ」(5声)〔全8曲)
ポール・ヒリアー指揮ザ・ヒリヤード・アンサンブル〔ジリアン・フィッシャー、リン・ドーソン(S)デイヴイッド・ジェイムズ(C-T)ロジャーズ・カヴィー=クランプ、ジョン・ポッター(T)ポール・ヒリアー(Br)マイケル・ジョージ、マイケル・チャンス(Bs)〕
録音:1984年、アビー•ロード•スタジオ、ロンドン
ワーナークラシックス(エラート)海外(EU)盤(2003年製造)