2007年に横須賀美術館で開催された「生誕90年 木版画の詩人 清宮質文展」の図録です。
清宮質文(せいみや・なおぶみ、1917-1991)は、近世版画の研究でも知られる画家・清宮彬の長男として東京に生まれました。東京美術学校を卒業後、 1953年ごろから画業に専念し、おもな表現手段となる木版画の制作を始めます。
木版画といっても、刷りに多大な精力をつぎ込んだそれらの作品の中には、同じ版でも刷り色の違うもの、あるいは一つの版から1、2点しか刷られなかったものなど、ほとんど一点制作に近いような作例が少なくありません。
このような稀少な木版画とならんで、清宮質文の手がけた作品には、ガラス絵、モノタイプ、水彩画および初期の油彩画があります。いずれにおいても、平明なかたちと抑制された色彩を使い、心の中にあらわれるうつろいやすいイメージをていねいに写しとった作品は、豊かな詩情に満ちたものです。
生前は、個展などの限られた場を通じて発表され、また所蔵家に愛蔵されて、 実際に見る機会の少なかった清宮作品ですが、近年、美術館等の公的機関でも回顧展が行われるようになり、その再評価の機運は確実に高まっています。
横須賀美術館では、清宮質文による木版画53点、ガラス絵14点、モノタイプ9 点、水彩画13点および油彩画1点の全90点を所蔵しています。いずれも、ご所蔵家・伊藤文夫氏のもとで長く愛蔵されていた貴重な作品で、初めての個展で発表された1958年の作品から晩年まで、約30年間の創作活動を広く見渡すことのできるコレクションです。
今回の展覧会は、これらの所蔵作品に加え、その画業をしのぶにあたって欠かせないいくつかの木版画、初期の油彩画及び絶筆となったガラス絵など、全110 余点の作品によって、その独特の世界に迫ろうとするものです。
本書は縦26cm横19cm厚さ1cmソフトカバーの図録で、古書店で購入し、表紙や天地にやや傷やスレがありますが、図版は綺麗な状態です。
雨濡れ防止のためビニール袋に入れて発送致します。