2006年。32歳の誕生日にリリースされ、その3日後に難病で他界するJ Dillaの2ndアルバムにして、ビートテープ史上最大の影響力をもつ名作「Donuts」。様々なジャンルから切り取られたサンプリングで構成する31曲を、怒涛の勢いで繋いでいく44分。DJプレイのような臨場感を伴った圧巻のカット・アップ・アートは、Hip Hopを超越してミクスチャー・ロック的でさえある。この生々しいビート集を、彼は入院中の病室に7インチ用のターンテーブルとサンプラーを持ち込んで、病と闘いながら作り上げた。最終曲の後半部から1曲目がスタートするトリック。それは「永遠のループ」を意味している。
Jaylib期を経てStones Throwとのディールを決め、デトロイトから西海岸に移住した彼。Madlib越しにMF Doomからも刺激を受けていたのか、収録曲31曲の全てがインスト、しかもボーナスビーツ的な短尺の曲を詰め込んだ収録ですが、その分各溝に迸る初期騒動的なファンクネスと荒々しいコラージュ感が、若くしてこの世を去った天才の生き様を刻んでいるようにさえ思えます。
Tracklist:
1. Donuts (Outro)
2. Workinonit
3. Waves
4. Light My Fire
5. The New
6. Stop!
7. People
8. The Diff’rence
9. Mash
10. Time: The Donut of the Heart
11. Glazed
12. Airworks
13. Lightworks
14. Stepson of the Clapper
15. The Twister (Huh, What)
16. One Eleven
17. Two Can Win
18. Don’t Cry
19. Anti-American Graffiti
20. Geek Down
21. Thunder
22. Gobstopper
23. One for Ghost
24. Dilla Says Go
25. Walkinonit
26. The Factory
27. U-Love
28. Hi.
29. Bye.
30. Last Donut of the Night
31. Donuts (Intro)