グールド／ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第9番、第10番、第12番、第13番

ベートーヴェン ①ピアノ・ソナタ第9番ホ長調 作品14の1 ②ピアノ・ソナタ第10番ト長調 作品14の2 ③ピアノ・ソナタ第12番変イ長調 Op.26『葬送』 ④ピアノ・ソナタ第13番変ホ長調 Op.27-1 グレン・グールド(ピアノ) 録音：1966年①②、1979年③④ グールドは、デビュー後、世界各国で演奏活動をしていましたが1964年4月の公演を最後に"コンサート・ドロップアウト"宣言をし、録音に集中。前半の2曲は、演奏活動引退後2年が経過した時期に録音されました。後半の2曲はそれから13年後グールド晩年の録音です。録音年に開きがありますが違和感はなく、4曲ともにグールドの個性がしっかり刻み込まれています。 異端とも評された問題作ではありますが、いかにもグールドらしい今までの常識的なものを打ち破る、それでいて決して型崩れにはならない説得力の強い演奏。伝統や風格といったものから遠く離れ、グールドの無垢な心がこの作品をかたちにしたと言えるでしょう。 独特のテンポ感を持ったベートーヴェンで、賛否両論、大きな話題となった演奏。しかし、グールドの場合は、どのアルバムでも独特で、初めは戸惑っても、聴くうちに強い力で引き込まれていく。第12番と第13番は、最晩年にして最後のベートーヴェンのソナタということになる。枯れたような境地から紡がれるソナタは静かに静かに、かつ明白で雄弁である。歌声はほとんど聴かれない。晩年にさしかかったグールドがこのソナタをどんな気持ちで弾いただろうか。おそらくは最初の頃の雄弁なグールドではなかったろう。喋らなくなった分、ピアノはより深く饒舌だ。 第9番・・・グールドの愛奏曲と言いたくなるほど小気味良い演奏。春の花園を思わせる。 第10番・・・やはり幸福感に満ちた演奏で、グールドの愛情表現が美しい。 第12番・・・冒頭の変奏曲がやや思わせぶりで、グールドとしては異例。各変奏曲を楽しむかのような歌声も心地よい。「葬送行進曲」の第3楽章は肥大化することを抑制し、次のアレグロとの対照の妙で聴かせる。 第13番・・・右手と左手の会話にも似た第1楽章からグールドの独壇場。共感の深さがそのまま音になっており、第3楽章アダージョのテンポも失速寸前という面白さを持つ。 国内盤、帯無し、盤面傷無し　11 ＊まとめ買い値引き致します(要事前コメント)