昆虫はもっとすごい
丸山 宗利 / 養老 孟司 / 中瀬 悠太
定価: ¥ 800
アリと共生する昆虫が専門の人気学者・丸山先生、無類の虫好きでお馴染み養老ハカセ、生態が謎だらけの寄生虫研究者・中瀬クンによる夢の“虫屋”トリオが、昆虫ワールドの魅力を語りつくす。アリの匂いや動きを真似て巣に居候しダタ飯を食うハネカクシ、交尾のためにわずか数十分の命を懸ける雄と寄生先から一生外に出ない横着な雌のネジ レバネ、何の意味や役割があるのか全く分からない奇妙キテレツな形をしたツノゼミ……。小さき生き物の多種多様なあり様から、彼らを取り巻く植物や自然環境まで、虫 屋の白熱トークは縦横無尽に展開。面白さ太鼓判!
丸山宗利
1974年東京都出身。九州大学総合研究博物館助教。北海道大学大学院農学研究科博士課程修了。博士(農学)。アリと甲虫の研究が専門。著書は『ツノゼミ ありえない虫』(幻冬舎)、『昆虫はすごい』(光文社新書)など。
【丸山】前作の「人間がしていることは、すべて昆虫がやっている」というキャッチコピーを見て、「そんなわけないだろう」と思われた方も多いと思います。もちろん、昆虫が検索エンジンをつくったわけでも、宇宙に飛んでいったわけでもありません。しかし、巨大建築をつくりもするし、結婚詐欺だってするし、農業だってする。生活の基本は、倫理部分を除けば、だいたい昆虫は人間の先を行っています。
恋愛も、農業も、戦争も、人間が今の形に進化するずっと前から地球のどこかで昆虫が済ませている。われわれがしていることを先取りしている「生物の先輩」として昆虫がどのようなことをしてきたのか、家族、住まい、恋愛、男女関係、食べ物といった暮らしや、「社会関係をどう生きていくか」という課題を中心にしつつ、昆虫の生態をなぞっていきたいと思います。
……。「雄がエサとして捕らえた昆虫を雌に見せ、それを目当てに近づいてきた雌と交尾をする」という行動は、いかにも人間の男性も使うような手口でしょう。……。/そもそも雄が雌にプレゼントを渡すようになった理由としては、獲物を捕れるだけの体力、体格、強さがある雄だとアピールすることで、良質な子孫を残すという目的にかなった相手だと雌に思わせることができるからでしょう。……
〈第2章 社会生活は昆虫に学べ!
より〉
美品