【CD】Midge Ure / Answers to nothing

ミッジ・ユーロ「アンサーズ　トゥ　ナッシング」 1988年作「Answers to Nothing」は、Ultravox脱退後のソロ期における最重要作として位置づけられるアルバムだ。ニューウェイヴの孤高の歌い手としての陰影はそのままに、よりパーソナルで温度のあるロック／ポップスへ踏み出した姿が刻まれている。タイトル曲「Answers to Nothing」は、当時のヨーロッパ各国のチャートで上位に入り、シリアスな歌詞と荘厳なアレンジが鮮やかに響き、ソロ・アーティストとしての成熟を強く印象づけた。 本作の魅力をさらに引き上げているのが、豪華な参加メンバーだ。特に注目されるのが、ケイト・ブッシュがゲスト参加した「Sister and Brother」。彼女の透明感あるボーカルとUreの深みのある声が溶け合い、アルバム随一のドラマ性を生み出している。また、ドラムにはビッグ・カントリーのMark Brzezicki、共同作曲者として長年の相棒Daniel Mitchellが加わり、80年代後期らしいクリアで厚みのあるサウンドを構築している。 「Take Me Home」や「Hell to Heaven」などの楽曲には、ハイテク志向と人間味の絶妙な交差点に立つUreの美学が色濃く反映されている。シンセとギターが寄り添いながら展開するサウンドは、当時のUKロック／シンセポップの空気をまといつつも、彼にしか描けない孤高の世界観を湛えている。 「Answers to Nothing」は、華やかさよりも誠実さと深い感情を求めるリスナーに静かに寄り添う一枚だ。Ultravoxを入り口に彼を知った人も、ここで“歌うMidge Ure”の真価に出会うことになるだろう。 収録曲 1.Answers To Nothing 2.Take Me Home 3.Sister And Brother 4.Dear God 5.The Leaving (So Long) 6.Just For You 7.Hell To Heaven 8.Lied 9.Homeland 10.Remembrance Day ※数十年前のCDとなりますので、写真画像をご覧いただき経年劣化などご理解いただける方のみご購入ください。