『裸のヨガ(Naked Yoga)』 マルコム•レイ
-金沢文庫
『裸のヨガ(Naked Yoga)』は、70年代カルチャーの匂いと、アートとスピリチュアルがまだ曖昧に混ざっていた時代の空気が詰まっている一冊。
見た目のアートブック感やサイケなデザインとは裏腹に、“裸のまま行うヨガ”のための、真面目で実践的なガイドでもある。
70年代当時の、身体と精神を一体化させようとするムーブメントの中で生まれた作品で、カメラワークもライティングも、単なる演出ではなく「呼吸」や「集中」を映す手段として機能している。
グラフィック的な構成と写真のアートディレクションは圧倒的に美しく、今見るとZINEのような自由さと、スピリチュアルドキュメントの誠実さが同居している。
いまの時代だと、この無防備でオルタナティブな表現はまず成立しない。だからこそ、時代の空気をそのまま封じ込めたような一冊。